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幕末維新備忘録

幕末から明治維新に関する備忘録

ゲーテによる無頼的態度への批判

「天分は自分だけで完成されるという妄想にとりつかれている」(『ゲーテ全集15巻 書簡』)と、晩年のゲーテは後進の無頼派的態度を嘆いています。(ゲーテの無意識と天才 

 

フランスのヴィクトル・ユゴーを賞賛し、それとは反対に若いドイツの詩人を学識がないと批判しているのも同じ理由からでした。

学識を得ようとすれば、才能をなくしちまう、などと思っている。どんな才能だって、学識によって養われなければならないし、学識よってはじめて自分の力倆を自在に発揮できるようになるのだというのに――(エッカーマンゲーテとの対話 』)

 

またファウスト第二部を完成させることができるので、構想を教えてほしい、という学生からの手紙が届いたときには、

世界が優秀な作品で満ちあふれているかということ、また、このような作品に比肩できるものをつくるには、何が必要かということを、手おくれにならぬうちに自覚するようになれば、今日の文学青年百人の中に、それと同じような巨匠の域に達するために、じっくりと仕事をつづけるだけの忍耐と才能と勇気を心中に感ずることできる者は、ほとんど一人もいないことはたしかだ――(エッカーマン

ゲーテとの対話』)

とこのように批判しています。

 

統一し発展するということ

ゲーテは若い世代に何を求めていたのでしょうか。文明がこれまでに培ってきたものが連綿と受け継がれることを望んだのではないでしょうか。


「人間の器官は、訓練、教え、思索、成功、失敗、励まし、反対、そしてまた思索をくり返すことによって進歩する」(『ゲーテ全集〈15〉書簡』)

これは一個人における働きですが、集団のうえにも同じ働きと進歩をのぞんだとおもわれます。先人の過去を省みて、思索し訓練することを繰り返し、学問や思想や芸術が統一され発展することを。つまり、エッカーマンに語った次の言葉が理想的な形であらわれることを。

人間のもっているさまざまの力を同時に育てることは、望ましいことであり、世にもすばらしいことだ。しかし人間は、生まれつきそうはできていないのであって、実は一人ひとりが自分を特殊な存在につくりあげなければならないのだ。しかし、一方また、みんなが一緒になれば何ができるかという概念をも得るようにしなければならない――(エッカーマンゲーテとの対話 』)

 

ゲーテ全集〈15〉書簡

ゲーテ全集〈15〉書簡

 

 

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