hikaze

幕末維新備忘録

幕末から明治維新に関する備忘録

なぜ、萩から優秀な人材が出たのか

 春に萩を旅したとき、円政寺の住職さん(なのだと思われる方)からいろいろと話を聞くことができた。
 

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 印象に残っているのは、萩市のなかでも、この武家屋敷の区域から、東大の主席が何人出て、また政界、経済界の重要人物もたくさんでている、ということだった。(残念ながら正確な数字や内容を忘れてしまった)。


 その理由は、関ヶ原で負けた毛利氏が、長門国に押し込められたため、主立った人物が萩の町内に集まったからだという。
 人材が集結したことで独特の教育ができて、刺激し合い、才質が磨かれ、怜悧といわれる長州人の気風が醸成されたという話だった。

一国の威厳ある歴史は、長しえに国民奮励の動機となるが如く、一家の光彩ある家系は、異常の人物が出現したときに、その奮励の動機となるのは疑いない。私は高杉の出現の時に、彼の家系に対する責任及び名誉心が、外界の大勢と相まって、この英雄の精神を鼓舞作興したことを信ずるものである――(横山建堂『高杉晋作』)

と、述べているように、家系というのは重要なものなのだろう。

 雪国の山奥で生まれた自分は、そういう日本史の本流とは無関係な土地だった。それでも自分の先祖が江戸時代の地主だったことを聞き、誇らしくおもえた。もし、先祖が武人であったなら、感奮興起して、今よりもマシな人間になれたかもしれない。

 

 こんな風に書いているそばから、この考えが卑しい心根の証拠だな、と笑いたくなった。自分の血を数代遡っても、偉大な人物にあたらないかもしれない。しかし、精神的に偉大な人物と結合することはできるだろう。カエサルとナポレオンがそうだった。ナポレオンはカエサルを研究することで、精神的な後継者となった。大久保利通徳川家康を、西郷は大塩を……、いや、西郷はさすがに大西郷といわれるだけあって、ワシントンとか、ナポレオンの後継者でもあったのだろう。