hikaze

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

幕末維新備忘録

幕末から明治維新に関する備忘録

高杉晋作の敵

f:id:hikaze:20141114191344j:plain

photo credit: DvYang via photopin cc

 患難即平安、平安即患難

中岡慎太郎の人物評では、『見識があり機略もあり、どんな事態に臨んでも惑うことなく、機を看て動き、気で人に勝つものとして高杉晋作がいる。洛西(京都より西)の一奇才』と、晋作を評価している。
 中岡慎太郎によれば、晋作の考え方はつぎのようになる。
 西洋が発達していることを学ぶならば、発展する過程に内戦がたびたびあったこと、危難の中から国が興ったことなど考慮してから、手本にするべし。弊害のおおい現在の政体(幕府)で、座りながら学ぶことは、大間違いの極みだ。

もちろん、晋作は戦争をしたいがために論じているのではない。
 


 上海でみた亡国の民

 イギリス人、フランス人が歩けば、上海の現地人は避けて道を譲る。それをまのあたりにした晋作は、「実際には英仏の国だ。日本人も油断するべきではない」と、慷慨した。
 
 晋作は疑問に思った。かつて聖賢を生んだ国が、異民族のために傾いているのは何故か、と。そして、現地の知識人と筆話したときに問う。
「国運隆替(りゅうたい)のもたらすもの。すなわち天命」と、返答される。
「国家が盛衰するのは、政治を行うものが道理にそむくからではないか。自分たちで災いを招いているだけで、これを天命というとは!」と、晋作は言い放った。
 
 数人の知識人と筆話をおこなったが、だいたいが同じだった。形式的になっている。観念にとらわれ、現実がみえない。頑迷だ。
「西洋人は利をきわめているが、中国人は義をきわめているのだ」と言うものもいた。晋作は論破する。
「西洋人の利のもとになっている器械を研究して、義を行うためにもちいる。口先ばかりで聖賢の言葉をとなえても、西洋人に支配されるぞ」

 天命とあきらめ無気力になっている。固陋のために自滅する。これでは搾取されて当然だ、と晋作はおもった。
 幕府にもおなじ病弊がある。それを取り除くために、武によって国内の気風を一新しなければいけない。晋作の生涯は、幕府との戦いではなく、因循姑息との闘いだったのではないだろうか。
 

 この記事は横山建堂さんの「高杉晋作」を参考にして書きました。国会図書館のデジタルアーカイブで無料で閲覧できます。

 

広告を非表示にする