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幕末維新備忘録

幕末から明治維新に関する備忘録

ゲーテのナポレオン観

ゲーテについて

 

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photo credit: greg westfall. via photopin cc

エッカーマンは、ゲーテとのやりとりを「ゲーテとの対話 」として世に出している。この書物では、ナポレオンについて言及している箇所がおおい。またそのほとんどが賞賛で、ナポレオンについて語ることはゲーテにとっても愉快だったという。その中からいくつか取りあげてみる。

 

ナポレオンの偉大さ

「ことにナポレオンが偉大だった点は、いつでも同じ人間であったということだよ。戦闘の前だろうと、戦闘のさなかだろうと、勝利の後だろうと、敗北の後だろうと、彼はつねに断固としてたじろがず、つねに、何をなすべきかをはっきりとわきまえていて、彼は、つねに自分にふさわしい環境に身を置き、いついかなる瞬間、いかなる状態に臨んでも、それに対処できた。」


「ナポレオンは大した男だった! いつも開悟し、いつも明晰で、決断力があった。どんな時でも、有利だと認めたこと、必要だと認めたことのためなら、即刻実行に移すだけの力をそなえていた。彼の生涯は、戦いから戦いへ、勝利から勝利へと進む半神の歩みだった。まちがいなく彼はたえず開悟した状態にあったといってよいだろう。だからこそ、彼の運命が、彼の後にも、また彼の前にも二度と見られないほど、輝かしいものだったのだな。」

 

「非凡なものを生み出すあの天来の開悟というものは、つねに青春や生産力と結びついているのだよ。現にナポレオンがそうで、彼はこれまでに現れたもっとも生産的な人間の一人だった。」

と、このように賞賛している。また、落魄したことを憐れんで以下のように語っている。

 

「自己を絶対にまで高め、一切をある理念の実現のために犠牲に供することが、どれほど危険なものなのか、ナポレオンは身をもって示してくれているのさ。」

 

ナポレオンが成功した理由

「人々が彼(ナポレオン)を指導者と仰いでいれば、自分たちの目的がかなえられると確信した点にある。だから、彼のものになってしまったのさ(中略)
誰も、自ら進んで他人に仕える者はいないよ。だが、そうすることが結局自分のためになると知れば、誰だって喜んでそうするものさ。ナポレオンは、人間を十二分に知りつくしていた。それで、人間のこの弱点を存分に利用することができたのだね」

 

「また役に立つ才能豊かな人材をみとめて登用するということは、傑物にしてはじめてできることだ。なぜなら、何といっても類は友を呼び、自分自身偉大な才能をそなえている君主だけが、またその臣下や従僕の偉大な才能をそれ相応に認め、評価できるにちがいないからだ。『人材に道をひらけ!』とは、ナポレオンの有名な金言であったが、もちろん、彼はその部下の抜擢に、じつに独特の手腕をふるい、適材を適所に用いることを心得ていたので、生涯どんな大事業をなすにあたっても、ほとんど他に類がないほど部下をそろえていたよ。」

 

ゲーテはこのようにナポレオンを評していた。それも、ゲーテ本人に偉大な才能があったから一脈相通じ、語りえたにちがいない。そして、「理性や悟性でははかり知れない」デモーニッシュなるものは、「この上なく」ナポレオンに宿っていたとゲーテは語る。そのデモーニッシュなる力はゲーテにも強く作用していた。

 

 

ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

 

 

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