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幕末維新備忘録

幕末から明治維新に関する備忘録

幕末・維新

勝海舟の修行――敵の中に知己をつくった男

『本当に修業したのは、剣術(禅もふくまれるだろう)ばかりだ』と勝海舟はいっている。僕のなかで勝海舟は、航海や蘭学のイメージが濃かったので意外な気がした。 戊辰戦争のとき、勝と西郷が肝胆相照らし江戸攻撃が中止になる。それは勝の開明的な大局観の…

勝海舟についての雑文

柄に手をかけた刺客に、勝海舟は従容として言い放つ。 「斬るなら見事に斬れ。勝は大人しくしていてやる」 その一声は、刺客の度肝を抜き、刀を抜かせなかった。 この一事を振り返った勝海舟は、後年吉本襄に、「人間は胆力の修養がどうしても肝腎だヨ」と語…

尊大すぎた佐久間象山

佐久間象山は傑出した才能を持っていた。それにもかかわらず卓越した能力を政治に及ぼすことなく、非業の死を遂げた。なぜだろうか。 省〔ケン〕録 (岩波文庫 青 14-1) 作者: 佐久間象山,飯島忠夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2001/04/05 メディア: …

佐久間象山――幕末一の洋学者であり天下の師と自負していた男

天下の師と自負していた男 象山は、幼少のときから賢かった。三歳のときの逸話が「おらんだ正月」にある。 お寺の門山あった「禁葷酒」という石の表札を見て、文字を暗記した象山は、負ぶってい乳母の背中に「禁」の字を指先で書いた。驚いた乳母は、家に帰…

頭と腕に勇ましい力こもれば、いずこにいてもわが家と同じ――吉田稔麿について

photo credit: nosha via photopin cc いつまでも土地に釘付けになるな 思い切りよく、元気に飛び出せ 頭に腕に勇ましい力こもれば いずこにいてもわが家と同じ 太陽をよろこぶところ どのような憂いもない われらが世界に散らばるように そのためにこそ世…